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Ю月ン イリーナ

先日くすねた…ううん、失敬したレノ先輩の携帯の充電が切れてしまった。
いつまでたってもディスプレイは真っ黒。
なんでレノ先輩は充電器を一緒にポケットに入れておかないの?
というわけで、先日の私の書き込みのレスを見たくても見れない状況。
仕事がはやいツォンさんなら、きっともうレスしてくれているはずよ。
なのに見れない悔しさったら。
スペルを間違えたことについては、やっぱりそこはツォンさん、わかってくれるわよ。
退院できるのはいつになるのかはわからない。
けれど、私が退院して、ツォンさんも解放されたときにはきっと、
「イリーナ、これからもずっと…私を見守っていてくれないか…」
なんて!!キャー!!!

……ああ、長いこと入院生活が続いているからかしら。
現実逃避が日常茶飯事、ううん、趣味になりつつあるわ。

そういえばこの前お見舞いに来てくれたお姉ちゃんがちょっと疲れていたみたいだわ。
「アンゲロ聖堂……サイコガンダムMk.U」ってずっと呟いていて、ちょっと危なかった。
お姉ちゃんと一緒に来てくれた散弾銃♀先輩も、
「ムッシュ ムッシュ アンゲロ……ほくろ…」って
ずっと言ってて 危ない気がするわ。
入院中の私の方がまだ大丈夫な気がする。

Ю月ン 刀♂

手裏剣♀の様子がおかしい。皆は気付いてないけど、長い付き合いの僕には分かるんだ。
仲間に黙ってツォンの面会に行ったり、とにかく今の彼女の行動にはブラックゾーンが多すぎる。
この間、ダストシュートから汚れきったクマのぬいぐるみを抱いて出てきたのには、正直吃驚した。
何を聞いてもはぐらかされてしまうので、今日、僕は手裏剣♀の後をつけた。
少し良心が痛むが、構っていられない。そして、そこで僕は、恐ろしい光景を目にしてしまったんだ。

手裏剣♀が本部の小さな戸棚を開けたと思ったら、そこには何と禍々しい祭壇が作られていた。
彼女はその前で妖しげなポーズ(後姿だったから良く見えない)を取りながら祈っていた。
身体を左右に小刻みに揺らしつつ、祭壇に厳かにたたずむ奇妙な人形に祈りを捧げている手裏剣♀。
そして、僕は確かに聞いてしまったんだ。……アンゲロ、アンゲロ、と呟くその声を……。
気付いた時には、身体が勝手に動いていた。

後ろから羽交い絞めにしてその祈りをやめさせ、問い詰めると、手裏剣♀は目を潤ませた。
「黙っててごめん、刀♂。でも、私はこうするしかないの。アンゲロリーナ様にお祈りを捧げないと、
 身体中のホクロがぜんぶ顔に集まってくるってツォンに言われているの」
涙ながらに語る手裏剣♀。これは、僕に見つかった言い訳?それとも、本当に脅されているのか…?
わからない。手裏剣♀は小さな肩を震わせ、殊勝に涙をぬぐう。

困惑する僕に、手裏剣♀はそっと何かを手渡した。………これは、先日のクマのぬいぐるみ………?
「この子、刀♂にあげる。私の大切なぬいぐるみなの。クマエルちゃんって言うのよ。可愛いでしょ」
クマエルちゃんをあげるから、お願いだから皆には黙っていて。そう懇願されてしまった。
確かに可愛い。美しいものにはこだわりがある僕の美的センスにもぴったしカンカンだ。
涙目で言う手裏剣♀に、僕はクマエルちゃんを抱いて何も言えなくなってしまった。

どうすればいいんだ。僕はどうすれば……。誰か教えてくれ。
クマエルちゃんのつぶらな目が、きらりと光った気がした。

Ю月V日 散弾銃♀

困惑。ここ数日、悩みすぎてまともに眠れていないわ。
なぜかって?先日届いた、二丁拳銃からのメール(>>これ)の件よ。
どう解釈したらいいのかすら分からない。これは素なの?それとも彼はまだアンゲロなの?
というかアンゲロってなぁ〜に? アンゲロって何だYO?(なんかのほくろとかじゃな───

───!!まずい、ついノリそうになってしまったわ。私まで洗脳されるわけにはいかない。
誰かに相談に乗ってもらわなくちゃ。でも、誰に………。私はメンバーの顔を思い浮かべる。
妥当に考えて短銃♀ちゃんに相談したい所だけど、あの子も最近妹さんの事以外にも
考える事が多そうで、これ以上負担をかけたくないわ。刀♂も同じ、最近何か悩んでいるみたい。
手裏剣♀は忙しい、のよね?近頃、個人的に活動しているみたいで、あまり会っていないわ。
格闘コンビは相談相手、って感じじゃないし、ルードさんはHGだし、レノさんも今はいない………。
消去法で、私はロッド♂にターゲットを定めた。そうと決まったら、早く呼び出して相談しなくちゃ。


Ю月V日 ロッド♂

「今日の業務終了後、66階倉庫で待ってるわ。散弾銃♀より」
ここここkここここここkこkんなメモが俺のデスクの引き出しに入ってた。
オイオイオイ、ちょ、マジで?え、マジ?うわ夢じゃなくぁwせdrftgyふじこlp;@
まさかあの高飛車なお嬢が俺を?うはwwww俺にも春キタコレwwwwwww
もしかして憧れの女の子とバイク2ケツとか風邪ひいてあ〜ん♪とかウが得hヮォ!jンhあvば
イヤイヤイヤ、ここはまず落ち着け俺。興奮してどうする。冷静になるんだ、冷静に。
今日も普段どおりに腰を振りたてているルーd……HGを見たら、いくぶんクールダウンした。もう大丈夫。

とにかく、まずは身だしなみだよな。
まずは昼休み中に、一張羅の真っ赤なタキシードを取りに家に帰った。ついでに美容院も行ってきた。
「揉みあげはどうしますか?」って言われたから、緊張して「とりあえず揉んどいてください」って言ったら
隣の奴がコーヒー吹き出した。だが、今の俺はそんなものじゃ止められないぜ!!
慣れない花屋で薔薇とか買ってきてみた。蝶ネクタイも装備完了だ。
緊張して鼻血が出そう。早く、早く来いっ、定時!

〆月g日 短銃♀

今日はあの、私の今一番の悩みであるアンゲロ聖堂に侵入した。
まず聖堂までは本社1階にある隠しエレベーターで地下15階まで降りることになる。
私はエレベーターの中であることを考えていた。

いったいアンゲロ汚染はどこまで進んでいるのか。

いくら神羅の社長といっても、図面で見るかぎりではあんな大がかりな聖堂は簡単には作れない。
おそらく、聖堂を作ったのは単なる土建屋だろうが、このビルやミッドガルを設計した当時の都市開発部長は間違いなくアンゲロだ。
この前のハイウインドの件から神羅空軍―――いや、母港のジュノンそのものにアンゲロ汚染が確認されている。
おそらくアンゲロは神羅の影響下、つまりは世界レベルで汚染が進んでいると言うことだ。

「ん?もうすぐね。」
私はコマンダーを構え、エレベーターの扉を見つめた。
アンゲロ聖堂。正式名称、ミッドガル市アンゲロリーナ教会大聖堂。
それは亡きプレジデント神羅により神羅カンパニー本社ビル地下に極秘離に建設された、女神アンゲロリーナ復活を願うための聖堂である。


「サイコガンダムMK.Uだけじゃない・・・・・・キュベレイもついてきてる・・・。」
その聖堂は、私の想像をはるかに超えていた。
白亜の石壁には、アンゲロリーナ復活や、羽が15枚くらい生えた熊のぬいぐるみのレリーフが刻まれており
上からの真っ白な白熱魔光灯の光が、羽が50枚くらい生えて、さらに威光が激しくて、すっごいバランスが悪い熊のぬいぐるみや、羽が10枚くらい生やし、手にザックスが持ってたのと同じくらいの大剣を持った可憐な少女の石像を照らしていた。
その二つの天使を両脇に従え、悪夢の女神・アンゲロリーナは右の小指を左の鼻の穴に、左の小指を右の鼻の穴に入れて、聖堂の真ん中、白亜の椅子の上に鎮座していた。
聖堂の一番奥にはガンダムくらいの高さがありそうな、アンゲロっぽいパイプオルガンもある。


気が狂いそうだ・・・。

私はとりあえず写真を撮り、めぼしいものを聖堂の中から持ち出すことにした。
「新版・アンゲロ教典・・・、アンゲロ教典の旅・・・聖天使クマエルと守護天使ノエル・・・。」
なんか頭がぽーっとしてきた。
さっさとこんなとこ出よう。

そう思って私はエレベーターに再び乗ったのだった。

〆月g日 リーブ

「なんて事だ…」
休養中の身分だが、事件に関してはカケラでも情報が必要だと思い
自宅から会社のシステム目掛けてハッキンクまで行ったが

「ミッドガル市アンゲロリーナ教会大聖堂とは… ぶっちゃけありえない…」
ただ、絶句するばかりである


プレジデント神羅の残したデータベースには当然の如く二重三重のプロテクトが掛かっていたが
それを四苦八苦の末、突破した先はこのトンデモ遺物の情報
しかもご丁寧に画像とムービー付きで残っており、常人には異様な光景に映るだろう

「社長の悩みの種を増やす事になるのは仕方ないけど、明日にでも出社して一番に社長に報告せねばアカんな」

また後手に回ることになるのは容易だけど、食い止めれるものは止めなければ
被害はもう、ミッドガルのみならず世界規模にまで達していた事は、私の耳にも入っていた…

ふと、テーブルに目をやる
白の単調としたテーブルの上にはケーキと香りを放つ液体が入ったカップ
数日前にスカーレットが『お気に入りの紅茶なのよ、気分が晴れること請け合いだから飲んでとっとと復帰しなさい』と此処まで訊ねて
置いていった物だ
本来私は断固としたコーヒー派なのだが、ケットシーがケーキを頬張りながらねだるので淹れたのだ
けど味も香りもいいし、たまには悪くないかもしれない

明日からはまたこの事件と本業で板ばさみになるが、幾分かこの香りと味で助けられる
彼女には改めて礼を言わないとなぁと思いながらカップの中身を味わいつつ、再びパソコンに向かい直した

〆月$日 ルード

レノがいない日々は、タークス、というか相棒のオレにとって、結構大変だ。
他のタークスメンバーがやってるAngeyCuraisis(綴りがよくわからない。)とかいう
良く分からんミッションに参加していないオレは、ひとりで通常業務を行っている。
なぜオレだけ蚊帳の外なのだろう。分からない。分からないんだフォーーーーーーー!!!!(カクカクカク)
まあいいんだけどね。レノだって参加してないみたいし、おそろいだもんフゥーー。

それはともかく、先日、残業しながら神羅ビル66階の倉庫に行った時の事だ。
資料を探していたオレは誰かが入ってくる気配に気付き、素早く反射的に身を潜めた。
全裸にぴったりと張り付く黒いラバースーツ(露出多)の食い込みが、さらに緊張感を高める。
いったい誰なのかとサングラスの奥で目を光らせていると、なんと……散弾銃♀とロッドではないか。
緊張して損しましたフォォォォーーーー!!とか言いながらすごい勢いで飛び出していこうかと思った瞬間、
なにやら2人の間に流れる空気の異質さに、オレは腰を振るのをやめた。

「は、は、ハ、話ってなんだyお?」
なぜか茶髪をオールバックに撫で付けて、赤いど派手なタキシードを着たロッドがどもりつつ言葉を切り出した。
「その事なんだけど………ところであなた、その格好はなんのつもりなのかしら?」
散弾銃♀が携帯電話を取り出しながら、ロッドの姿を、まるでモンスターを見るような目つきで眺めている。
「い、いやこれはだな。一応、ホラ、み、身だしなみって大切だろ?………これあげます!!!」
それにしても会話に脈絡がない。マッハの速度でロッドは頭を下げ、手に持っていた薔薇の花束を差し出した。
「いらないわよ」
「そうですか。」
「ところで、この携帯画面を見て頂戴。こいつをどう思う?」
「すごく………大きいです………」
「当然。最新機種だもの。ってそんな事はどうでもいいのよ。問題は内容なの」

普段どおりの姿の散弾銃♀と、やたら気合の入ったロッドが同じ画面を眺め、目を見合わせる。
正直、オレはそんな内容よりも、手持ち無沙汰になった薔薇を持て余し、左右の手で持ち替えたりしているロッドの気持ちが偲ばれて
サングラスの奥のつぶらな瞳がうるみ、フォーフォー叫びながら飛び出したい気持ちを抑えるのに精一杯だった。

しばらく画面を黙って読んでいた二人だったが、やがてロッドが口火を切った。
「………なんだこいつ。キキキキスミーって変態じゃねえの?」
なるほど。どうやら変態ストーカーから送られてきたメールに関しての相談のようだ。
散弾銃♀は眉を顰めて、どうしたらいいのか思案にくれている様子。ロッドがいらついたように、言葉を続けた。
「気を持たせても仕方ないだろ。こんなキモい告白断っちまえよ」
明らかに自分に都合のいいように誘導しようとしている気がするが、HGは気にしないフォーー。

「え!?そ、そうだけど………」
「………ていうかもう、なじってやれ」
「そ、そんな!いきなりそんな難しい事……!大丈夫かしら私……上手になじれるかしら!?」
散弾銃♀は心底困りきった様子で、携帯電話の画面とロッドを交互に見遣っている。
「さっきも言ったが、気を持たせるのも可哀相だぞ。わかるだろ?」
「………そうね。ありがとう。後で送っておくわ」
2人が顔を見合わせ、頷く。遠目から見ているだけのオレにはいまいち分からないが、とにかく一件落着したんだろう。
興奮しながら見ているオレの存在に気付かず、オールバックのロッドがまたしてもモジモジしはじめる。

「は、話………の導入、は終わったんだろ?そろそろ本題に入ってもいいんだぞ?」
よく揉んでもらったらしい柔らかな揉みあげをかきあげながら、ロッドが言った。
「ハァ?話はこれで終わりよ。付き合ってくれてありがとう」
「ちょまーーーーーーっ!!!!!」
にこやかに言って倉庫から出ようとする散弾銃♀の視線の先を、ロッドは手に持った薔薇の花束を
すごい勢いで振り下ろし、遮った。散弾銃♀が心底奇妙なモノを見るような目つきでビクッとする。
「ち、違うだろ?まったくお前は、ホント素直じゃねえなぁ。ホラ、い、い、い、言っていいんだぞ?」
「………何をかしら」
「レ、レ、レストランだって予約してあるから。や、夜景が綺麗らしいぜ。だからホラ」

ああロッド。傍から見ているオレは応援の為に今にもフゥフゥ言いながら飛び出してやりたい気持ちを抑え
積まれた資料の裏で腰をカクカクカクカク振りながら唇を噛んで必死にこらえていた。

散弾銃♀がちょっと引きながら眉を顰める。
「はっきり言って頂戴。私、忙しいのよ。いったい何の話だっていうの?」
「だ、だから!」
ロッドは溜息をついて、似合わないヘアスタイルの髪をかき、深呼吸をする。
目を閉じて、緊張を落ち着かせ、何度も深く息をついてから、震える唇でゆっくりと言葉を紡いでいった。
「…………………………お、お、お、オ、お、O、お、俺のこと好きなんだろ?」
フォーーーーー!!!!青春フォォォォーーーーーッ!!!!!フゥウフゥhファウgゥフオォォーーーーッッッ!!!(カクカク)
あまりに興奮して資料を荷崩れさせてしまったが、今の散弾銃♀の目には入ってない様子。
というか、その時にはもう散弾銃♀は倉庫にいなかった。

「だから、俺とつ、つ、つk、つっ、つきあ………………………………………………………アレ?」
そこでやっと、散弾銃♀が呆れて帰ってしまった事に気付いたロッドの気持ちは筆舌に尽くしがたい。
誰もいない倉庫で足の角度を変えたりしながら、「……なんて、冗談に決まってるだろ?アハハ」
とか言ってみながら、顔を赤くしたり青くしたり最終的には土気色にしたりしていた。
最後は薔薇の花束に顔を突っ込んで泣いてた。

オレは思わず資料の奥から飛び出して、ロッドを抱き締めフォーフォー言いつつ、一緒に泣いてやりました。
ちょうど倉庫に入ってきた誰かがキャーとか言って逃げていったような気がするが、(・ε・)キニシナイ!!。
今日も元気にHGフォー!!


〆月$日 二丁拳銃

先日のメールの返事が、散弾銃♀からやっと送られてきた。
全く、筆不精なやつだ。焦らして気を惹こうとする作戦か?フッ、ガキめ。さっそく内容を───
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To:二丁拳銃 From:散弾銃♀
Title:Re:なんかのほくろ
イヤだよ、キモイ!お前、洗ってないイヌの匂いがすんだよ。
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……………まったく、本当に素直にあんげくぁwせrfふじこlp;@(涙と砂でこの先は読めない……)

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