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@月p日 ロッド

ノエルと対峙した俺たちはジェットストリームアタックをかけることにした。
その前に俺はやっておかなくてはならない事がある…

「散弾銃♀!」

散弾銃は「何よ?」とこっちを向く。

「あ、ここここっこ、この作戦が…ゴホっごほ!!」

何してんだ俺は!お、思いを伝えるんだ!!

「もし、この作戦が成功したら俺と」

よし!今度はちゃんと言えている!と思っていたら途中で遮られてしまった。

「何を馬鹿言ってるのよ!ほんとにアンタの言う事は理解不能だわ!」

完全にフラれた…そう思ったその時。

「…アンタと私がいて成功しない分けないじゃない…」

散弾銃はそう言うとすぐに、ノエルの方に向きなおしてしまったので
どんな顔をしているか分からないが、これは俺にも春がきたのか…!!!

「行くわよ!」

短銃♀が先頭をきる。次に散弾銃♀その次に俺だ。

まずは格闘♀がレノに相当するほどの超スピードでノエルを撹乱する。
次に二丁拳銃♂が弾幕でノエルの視界を狭める。
そして最後に俺たちだ。

短銃♀がノエル弾丸をぶち込む。
ノエルは俺と散弾銃♀の姿が見えないのを気にしながら、
二丁拳銃♂、短銃♀、格闘♀を見る。

短銃♀が横にどけて、散弾銃♀の攻撃!見事に狙い通りの場所に派手にヒットした。

「しまった後ろに2人目が…」

ノエルがうめき声をあげる。そしてトドメは俺だ!!!
ここはカッコイイセリフで決めてやるぜ!
俺がどんなセリフで決めようか考えていると、散弾銃♀が横に移動した。

「3人目までも!?クソッ!
 私は…私はどうすればいい?どうすればいいのですか…アンゲロリーナ様!」

「とりあえず揉んどいて下さい!!!!!!!」

俺の懇親の一撃が決まった。

「私はまだ…負けていない!!!」

信じられないがジェットストリームアタックを用いてもまだノエルは生きていた。
そして、大剣を俺に振り翳す。

やられた

そう思ったその時、ノエルは何者かに最後のトドメをさされ倒れた。

彼は漢の中の漢。「バナナ」という名のエクスカリバーを持つ者。

格闘♂!!!!!

「バナナクライシスは俺にしか止められねえ…」

まったく訳のわからないセリフだが、最後の最後で役に立ったな…コイツ。

@月p日 イリーナ

「ツォンさん!!」
歪みから社長に肩を貸されるように出てきたスーツ姿のツォンさんに、
私は誰よりも早くその元へ駆け寄っていった。

意識を失っているせいか、その様子はぐったりとしていたけれど…、
表情はとても穏やかなままで、それはあの昔の頃のツォンさんを思い出させていた。

ああ…よかったわ…。あんな人間からかけ離れた姿にまでなって、
もしこのまま帰ってこなかったら…って思っていたけれど、私はツォンさんと
社長の無事にただただ胸を撫で下ろしていた。

「…お疲れ様です、と」

社長が肩からゆっくりとツォンさんを降ろすと、私の横でレノ先輩が言った。

「ああ。だが、まだ我々の仕事は終わってはいない。
ツォンを………いや、この世界を変えようとしたアンゲロリーナと
直接会い――」

社長が答えようとした、その時。

「―――なに…?」
私の後ろから誰かの悲鳴が聞こえた。
三人共に振り返ると、大剣を持った天使の背中を……、あれって…バナナかしら…?
大男の人間がバナナで貫いているという、まさに壮絶な光景が広がっていた。

@月p日 ルーファウス

ようやく精神の中からツォンを助け出し、無事帰ってきた頃。
レノやイリーナと同様、AC部隊も同時にノエルの断末魔を最後にその役目を終えていた。

「全員、一先ずご苦労だった」

「…へっ、見掛け程にもなかったぜ」
「社長も、ご無事で何よりです」

黒服を身に纏ったタークス達。
口々にする言葉は違えども、AC部隊の一人一人がタークスとしての責務を持った目をしていた。
…だが、その中にバナナなどを持っている明らかに浮いている男が一人いた。

「……格闘♂、お前は今までどこにいた」
「社長、バナナクライシスはもう終わりました。悲劇を食い止めた我々の働きは世界中のバナ(ry」

長い間姿を現さず、この緊急事態に何を訳の分からない事を言っているのだろうか、全く…。
この男の今後の給与査定を楽しみにしつつ、私はもう何も残されていない大空洞の中で
アンゲロリーナを呼びかけた。

「アンゲロリーナ、近くにいるのは分かっている。我々の前に現れろ」
『…許さない……』

ふっ、とアンゲロリーナの静かな気配を背中に感じ、その元へと振り向く。
そこには、己の保身をツォンに托し、自身の力を殆ど失ったかつての"神"の姿があった。

『ツォンまでもが敗れ、私の存在はもうほぼ皆無となってしまいました…』
「その通りだ。アンゲロリーナ…これは、お前の負けだ」

状況は明らかにこちらが優勢。だが、アンゲロリーナの表情はとても落ち着いていたものだった。

『…私は神という立場に立たされ、人を幸せにさせる力を手に入れました。
私が見てきた人間は、どれも社会に疲れ切っていて幸せすら感じる暇もなかった。
私はクマエル達を使い、視界に入った険しい表情の人間を片っ端に、長き安息を与えたのです。

 あなたの父親もとても熱心にアンゲロリーナの布教を続けてきました。なのに…
その息子のあなたが何故、私の邪魔をするのですか』

私はこの質問の答えを持っていた。今まで我々を悩ませていたこの者に対する、当然とも言える答えを。

「…親父は、アンゲロを信仰するようお前に操られていた。例えどんな大義名分があろうとも、
個々の人間には信仰の自由がある。神が人に崇めさせるものではない」

大空洞を包む沈黙の中を、私は更に言葉を続ける。

「私欲に墜ちた神は、ただの悪魔だ。
…そして、この悪夢も終焉を迎える」

私はその言葉を最後に、私はアンゲロイドの薬品が入った水鉄砲を懐から抜き、その照準を
アンゲロリーナの額へと向けた。

その時。
まるで何かが抜けるかのように大空洞の禍々しい空気が一斉に消えた。
…目前にいたはずの、アンゲロリーナと共に。

@月p日 ロッド

「まさか、逃げられちまったのか…?」

冗談じゃねえ…。
せっかく長い時間を掛けて、やっとここまでアンゲロリーナを追い詰めたのに……クソッ!

「ちょっ……どうするんですか!?先輩」
うろたえるイリーナを尻目に、俺は社長に何かを求めるように見続けていた。
「……いや、確かアンゲロリーナは姿を消したが、それは自らのアンゲロそのもが消滅した可能性もある」
確かに、あのきなっぽい雰囲気も全部消えちまったし、社長のその言葉には全員
一様に納得した。けれど、トドメを刺せなかった事に対しては流石に心配を隠せない。

「あ、そういえば…」

「? どうしたんだ、と」
唐突に言葉を漏らすイリーナ。

「メテオ!…あのメテオは一体どうなったんですか!?」
…そうだ!アンゲロリーナが呼び寄せたあの巨大な隕石…。
あれも一体どうなっちまったんだ…?

「心配はいらん」
その言ったのは宝条博士だった。

「上空にあったメテオの反応は既に見かけられない。恐らくあのアンゲロリーナが呼び寄せた
隕石は、奴の能力で作られたものだろう。アンゲロリーナが消えれば、そのメテオも消滅する」

博士の言葉に全て安心した。
大空洞から空を覗かせる穴からも、確かに今まであった隕石が見当たらない。
アンゲロの恐怖はもう終わったんだと、俺は確信できた気がする。

「…ツォン。意識はあるか?」
地面に寝かせられたツォンさんに、社長が声を掛ける。
…だが、ツォンさんからの反応は何もなく、ただずっと目を閉じたままだった。
「彼についてもだが……アンゲロリーナに護られていたとはいえ、JENOVAと一度同化している。
たとえ融合体から抜け出せたとはいえ、アンゲロが消えた今では、正直な所…正常な状態にいられる保証はない」

大空洞に再び沈黙が戻る。その中を社長はゆっくりと立ち上がった。
「まず、一度本社に戻るとしよう。ツォンに関しては、一度ミッドガル総合病院に搬送し
意識を取り戻し次第、事情を聞く事にする」
こうして社長の指示の下、俺たちは一度神羅ビルに戻る事になった。


「…これで、やっと終わったんですね。先輩」
「オレはもう、こんな事はゴメンだぞっと」

こうして…"Angello Crisis"は幕を閉じた。

本社に帰ったら、俺たちはきっとこの事件の後始末に取り組む事になるだろう。

その間、俺たちはまだまだ頑張らなくちゃならない。


その先に、平和な日々が続くと信じて―――

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