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ф月φ日 ルード

今日はツイてない。
俺の素晴らしい格好が皆に理解されていない。
社長に、なにか穿けと命令されてしまった。
納得がいかない俺は断固拒否したが、社長の有無を言わさない命令に従わざるを得なかった。

「命令を聞かないと社員用のジムを使わせないぞ」

その言葉に硬直した俺を見て、社長は小声で言ってきた。

「おまえが惚れている女がその姿を見たらどう思うだろうな?」

一瞬、動揺する俺に社長はさらに言葉を続ける。

「ティファとか言ったか…おまえは嫌われるだろうな」

……。
…………。
………………それは非常に困る。
ジムが使えないのも困るが、ティファに嫌われるのはもっと困る。

「……了解しました」

渋々と、パンツスーツを受け取り身につけた。
尻のロッドも取った。

相棒がホッとした表情を浮かべているのが気になるが……まあいい。
俺にとってはティファに嫌われることのほうが一大事だ。

それにしても、俺がティファのことを好きなのをなぜ社長が知っているんだ……?

ф月φ日 レノ

やれやれ。
やーっと、ルードの奴がちゃんとした格好をしてくれたぞ、と。

散々渋っていたが、ジムとティファの話を出されて、さすがのルードも首を縦に振った。
社長にルードがティファに惚れてるって話をしておいてよかったぜ。

野郎の下半身なんて見ても楽しくもねぇからな。どうせなら見るなら女の子の………

ヤベェ……社長とイリーナが睨んでやがる。

二人の鋭い視線を感じながら、俺は瞬時に思考を切り替える。


これから、俺たちは北の大空洞に向かう。
決して楽な戦いじゃねぇのは分かっている。

セフィロスのほうは、クラウド達に任せておけばいいが、アンゲロ・ツォンは俺たちが相手をしなくちゃならねぇ。

俺は――俺達はタークスの名と誇りに賭けて、ツォンさん、アンタを絶対に取り戻してみせる。



それにしても、クラウドの奴……ご褒美が蜂蜜の館のプラチナ会員証とは羨ましすぎるぞ、と…

ф月φ日 ルーファウス

ようやく、ルードに服を着せることが出来た。
あいつは自分の格好がどれほどおかしいものなのか、気付いていないのだろうか?

まぁ、ジムとティファの事をだしたら、おとなしく首を縦に振ったがな。
レノからティファの話を聞いていて本当に良かった。
そのレノは、口元を緩ませてニヤついている。
おおかた、女のことでも考えているのだろう。
睨みつけたら目を逸らして何かを考えだしたようだがな。


神羅ビルの1階に戻った私達を出迎えたのは、ロビーの真ん中に陣取りバナナを食べている格闘♂――


「まだ、バナナ食べていたのね……」
「格闘♂も連れて行ったほうがいいのかしら…?」
「そうね…盾くらいにはなるんじゃない?」
格闘♀と散弾銃の会話が私の耳に届く。
なるほど…クラウドのように物で釣れば格闘♂も、それなりの働きをするかもしれないな。

格闘♂を連れていくかどうかは、刀と手裏剣が到着するまでの間に考えておくとするか…

ф月φ日 クラウド

「クラウド、シドが間もなく迎えにくるから、だからだから!
 あぁ、もう!一人でどこにいくのよ! 
ねぇ、クラウド!ちょっと待ってってば!!」 

ティファの制止を振り切り、北の大空洞まで急いだ。
途中でバイクから海チョコボにも乗り換えた。
とにかく急いで急いで、やっと辿り着いた大空洞・・・・

あ、いや。待て待て待て待て。待て、俺!
とりあえず落ち着こう。深呼吸だ。
焦ってしくじったら、せっかくのプラチナ会員証が・・・・。
あ!いやいやいや・・・・別に欲しくない欲しくない欲しくなんかない!
俺はそう、別に報酬が欲しくてここまできたわけじゃなくて、
それはそのぉ、星の危機ぃだから・・・・。そう、仕方なくだ!
俺たちの星は俺たちで守る。だから、仕方なくきたんだ。
うん、そうだ。そうだな、俺!

誰も聞いていない言い訳を心の中で繰り返しながら、
クラウドは大空洞の中を早足で進んだ。

そして・・・・

「ナ、ナンダッテー!!!!!!」

ф月φ日 ルーファウス


ピリリリリリr ピ。

「私だ。・・・・あぁ、クラウドか。 どうした?」
「ルーファウス!どういうことだ!何で大空洞にツォンがいる!」
「あぁ、それは・・・・」
電話の向こうでやけにヒソヒソと(それでも怒りながら)話すクラウドに、
私は溜息をついた。そうだ、まだ言ってなかったな。
ツォンはシスターレイで飛ばされた。そう言おうとした時、
「俺が引き受けたのはアンゲロ・セフィロスだ!
 ツォンと同化するなんて聞いてない!!
 いくらプラチナ会員証の為とはいえこんな・・・・・」 ピ。

話の途中だったが、長くなりそうだったので迷わず切った。
セフィロスとツォンが同化だと?
何だ、それは。私だって聞いていない。
一体、どういうことなんだ?

ピリリリリリリリ ピリリリr ピ。

またクラウドかと思いきや画面を見ると、短銃からだった
「…私だ。」
「社長、ご無事でしたか?短銃♀です。
今、先ほどの最終兵器の入った棚を発見しました」
「よくやった、早く持って来い」
混乱する頭をどうにか抑え、クラウドからの報告をそのまま伝える。
短銃は私以上に混乱しているようで、声がぷるぷると震えていた。
・・・・まぁ、当たり前だろう。
「だから早く持ってきてくれないか」
とりあえず最終兵器が必要だ。それさえあればきっと。
そう思って催促するが短銃は、
「し、しかし、薬品棚にロックがかけられています。
 解除にはパスコードが・・・・・しゃ、社長のお誕生日を教えて下さい!!!!」

ピ。

どうしたのだ、この子は?
頭がおかしくなってしまったのだろうか?
いきなり誕生日を教えて下さいとは、こんな時に一体何を考えている!

とりあえず、ムカツイたから電話は切った。電源ごと。
みんなアンゲロのせいでおかしくなっているのだろう。
これ以上被害が拡大する前に、急いでツォンを止めなければ!

ф月φ日 短銃♀

…きっと今頃、皆さんはもう大空洞内部に向ってアンゲロと…。

社長と電話を切って一時間後、歳ながらPCと格闘する宝条博士に指令され、
私は科学部の薬品庫へ向いました。

走った方が早かったので非常階段から科学室に飛び込み、厳重な薬品庫のロックを博士に借りたカードキーで開け…
「・っ…」
開けた先の部屋の中には、幾つかの瓶が大量に落ちて割れていて…。
あ、何かアタマとか、痛…!

「新手のインフルエンザ薬…、A-G棚…。うえっ…(涙目)」
皆さんの苦しみを思えばこの位、…耐えてみせます!

(棚…、A-G…、エージー、か…)
何だかあれを連想してしまうようなアルファベットね…
そんなことが痛む頭を掠めた時、薄暗がりの中をまっすぐ進んだ先に、
「あれですね!」
銀色に鈍く光る、取っ手が天使の羽のひときわ異色な棚がありました。

確かに手元のロック装置にはA-NGE…(ホコリがかぶって良く見えない)と赤く書かれていて…

「! パスコード!」
(ここに社長の誕生日を入れれば…!)
入力ボタンを確認し、社長の誕生日を知らなかった事を0.1秒反省して、
宝条博士に電話を繋ぎました。

「宝条博士、短銃♀です。
薬品倉庫からA-G棚を見つけました」
痛む頭を携帯を持っていない手で支えながら、
…次にパスコードを入力して、皆さんと合流して…

「アンゲローーーーーー??!!!」
「キャアア!!!」
と次の事を考えていた時、電話の向こうで博士は不吉な絶叫を上げました。
「ど、どうしました博士?!」
「あ、いや…今『なんだとーーーーー』と出るはずだったのだがしかし…」
世迷い言はいいとして、
「何かわかったんですね」
「いや…そんなまさか…、あの、只のせきのど微熱のあのカプセルが…。
いや、あれは薬ではない中味は薬など生易…
あの女の研究の…、を私が…」
ぶつぶつ、気になる肝心な事を呟くのは博士の癖だけど…、
今は一刻も早くパスコードを聞き出さなきゃ。

「博士、パスコードを。社長の誕生日を…」
「今まで使っていたワクチンとは違う…」
「え?」
「アンゲロ…、ル…ツィ…ア…」
「博士、社長の誕生日を!」
「わ、私は知らんぞーーー!!!」

ぷつッ。 ツー。ツー。


「切られた…」

(こんなに時間を無駄にしてしまった…。これなら本人に聞く方が早かったわ…)
戻ったら、博士に正気に戻って頂きまた手伝って貰うように水でもかけよう(悪気はない)と思いながら、
時間を取り戻すべく、社長に電話を繋ぎました。


「…私だ。」
「社長、ご無事でしたか?短銃♀です。
今、先ほどの最終兵器の入った棚を発見しました」
「よくやった、早く持って来い」

心無しか、社長の声が動揺している…。
ルードさんでお近くにいるのかな?
「シスターレイが効かなかった」
「えぇーーーーー!!!!」
そんな社長!それに皆さん!そんな大事なことは早く伝えて下さいよ!!(涙目)

「そしてセフィロスとも同化した」
「そんなーーーーー!!!!!」
膝が生まれたての子鹿になって立っているのがやっとです!

「だから早く持ってきてくれないか」
…もうこれ以上は何を聞いても驚きません。
「(どきどきがくがく)はっ。しかし、薬品棚にロックがかけられています。
解除にはパスコードが…」

くらくらする頭と身体をどうにか支えて、私は…

究極生命体に対抗しうる…新手の…アンゲロエンザの…対抗薬を……
「…しゃ、社長のお誕生日を教えて下さい!!!!」

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