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X月β日 受付嬢

ここ数か月、神羅カンパニーは異様な雰囲気に包まれています。

ツォンさんが髪を振り乱して踊り狂ってたり、レノさんがクマのぬいぐるみを背負っていたり、社員の皆さんがあちこちでアンゲロアンゲロ言っていたり…

ミッドガルを…いえ、星さえも滅ぼしかねない何かが起こっているのは、私にも分かります。

そして、社長をはじめ、幹部やタークスの皆さんが、事態を治めるために動いていることも…

私には、皆さんのお役に立てる力はありません。
ですが、せめて無事を祈らせてください。
それが、私に出来る唯一のことですから…



それにしても、玄関ロビーの真ん中に陣取っているあの人は、いつまでバナナを食べ続けるのでしょうか…?
すごく気になります…

£月☆日 格闘♂

バナナを食べた。
主任がangello.co.jpという通販サイトを教えてくれてそこのバナナがうまそうだったのだ。うほっ
どこから届けられたのかはわからないがバナナはうまかった。


ところで、下のあたりが騒がしいような気がするが何かあったのか?
地下があるとかロッドとかが騒いでいたが。


バナナが腐るといけないので早く食べてしまおう。

X月&日 短銃♀

「あななたち何やってるの?」
シスター・レイの発射準備を終えたスカーレット部長が
私と宝条博士の様子を見にきてくれたのは、15分前の事。
あら、なかなか優しいところがあるのねスカーレット部長ったら・・・
なんて場合じゃない!丁度良いところへきてくれたわ!

「部長! ・・・実はこの暗号が解析できればアンゲロに対抗する
 データが得られそうなんです。ただこの乱数式が・・・・」
「ちょっとどきなさい」
言い終わる前に椅子をひったくられ
スカーレット部長が暗号の解析を始める。
「こんなの簡単じゃない。数字を文字に置き換えればいいのよ!
 私の手にかかれば・・・・・・ほら、この通りよ!キャハハハ!」
 
瞬く間に解析プログラム組み上げた部長が最後にEnterを押すと、
さっきまで無規則に並んでいた数字が文字にかわり始める
この人、さすが化粧が厚いだけで部長になったわけじゃないわ!
「あ、ありがとうございます!」
私が深々と頭を下げると部長は「いいわよ、別に・・・・」
と、照れてそっぽを向いた。・・・・い、意外と可愛い人なのね。

「そ、それよりあなた。宝条はどこにいったのよ?」
「過去のデータを捜しに行ってます」
「あっそ。じゃ、せいぜい頑張りなさい。キャハハハ」
部長が部屋を出る瞬間にもう一度頭を下げてから、
解析されたファイルをのぞく。

と、そこには・・・・

【アンゲロワクチン】
 万一アンゲロが拡大し、私の脳も侵された時の為にここに残す

 くしゃみから始まり次に微熱。風邪にも似た症状を発する
 アンゲロ感染初期のデータを元に抗体をつくらせたのは
 我が息子・ルーファウスが生まれた年。
 生まれて直ぐにアンゲロに感染した息子の身体をサンプルとした為
 神羅総合病院にいくつかのデータが残っているはずだ。
 いや、データが残っていなくともルーファウスそのものが
 抗体となりうる細胞を持っている。

 因みに、宝条に新手のインフルエンザとして開発させた薬は
 科学部の薬品庫に保管しておいた。A−G棚でパスコードは
 息子の誕生日に設定してある。

 これを見た者の健闘を祈る!   プレジデント神羅

「・・・・・これがアンゲロに対抗する秘密兵器」
今ある初期症状のみ有効なワクチンとは明らかに違う
これならきっと、北の大空洞やツォンさんにも効き目がでるはず!

「急いで社長に報告しなきゃって、あれ? 社長から電話だわ
 はい、もしもし。 ・・・・え? レノさんが? クマエルを?
 はい・・・・・・・はい。 わかりました。
 シスターレイの発射準備は既に完了しています。
 それと社長。プレジデントが残してくれた最終兵器が見つかりました」

発覚した事実を手短に告げると、社長は驚きつつも「そうか」と呟く
そして、
『シスターレイを発射させる。カウントダウンを始めろ』

>>>>時は満ちた。 To be continue

X月&日 レノ

「3・2・1…シスターレイ発射ぁー!!!」

ミッドガルの中心にある、神羅の持ちうる最高の兵器、シスターレイ。
そこから放たれた美しく緑色に光る光線、ライフストリーム。
それは大聖堂の破って地上に姿を現したアンゲロ・ツォンにまともに直撃した。

「ツォンさん!!」と言い、イリーナが駆け寄ろうとするが、もはや俺たちにはどうにもできない。
ツォンさん…とうとう終わりなんだな、と。
泣きじゃくるイリーナな頭を撫でながら、俺はツォンさんとの事を思い出していた。

イリーナと俺を閉じ込めて、その様子を楽しんだり…
アンゲロ祭りと称して裸ソックスで踊ったり…
ホクロビームだしたり…
人形と食事したり…
ブリッヂしたり…
監禁されたりもしたぞ、と…

…って

何 で ツ ォ ン さ ん の 異 常 を 誰 も 気 づ か な か っ た ん だ!

もっと早く気付いていればこんな事には…

そのとき、辺りの沈黙はピロロロロという携帯の呼び出し音に破られる。
社長が電話にでた。

社長の顔色は話を聞けば聞くほど、どんどん悪くなっていく。
何があったんだ?、と。

電話を終えた社長から俺たちは驚愕の事実を告げられる。

「アンゲロ・ツォンは生きている。ただ、シスターレイの衝撃で吹っ飛ばされただけだったんだ。」

あ、ありえないぞ!、と。
ウェポンすら貫く威力だぞ、と…?

「吹っ飛んだ場所は?」

こんなときでも冷静に格闘♀が問う。
そして社長は答えた。

「……北の大空洞。」


>>>>俺たちの戦いはまだ続いている。 To be continue

ツォン ?月?日

…あの時。

聖堂で体が何かに包まれた時。
私の意識は徐々に薄れ……気付けば、すべてが白で覆われた
何も無い空間にいた。

しばらくすると、辺りに段々と明るく温もりのある光が溢れ出し、
恍惚とした状態の私を……まるで、抱擁するかのように
優しく包み込んでいた。

ここはどこなのか?  私は、あれからどうなったのか?

――何故、ここにいるのか?

本来なら混乱するはずのその状況。
しかし、私の心は妙なまでに落ち着いていた。

「――ツォン」
不意に自分の名前を呼ばれ、それが耳の中で音響する。

「ツォン、私です。アンゲロリーナです」

心に直接語りかけてくる、その優しくて温かみのある声。
私はその言葉を聞かずとも、すぐにアンゲロリーナ様だと分かった。
それと同時に、本物のアンゲロリーナ様にお会いできた事に
とても嬉しく、感極まって泣いた。

「ぐっ…、アンゲロリーナ様…私は…」
「わかっています、ツォン。…あなたは、私に会いに来たのでしょう?」
「私はっ…!本物のアンゲロリーナ様を……ぐっ、この目で御目にかかれて
光栄でっ……光栄でsえtあんげろヴぇ!」

涙が大量に溢れ、まともに最後まで言葉が言えない。
目と鼻から水がだらだら漏れている私を、アンゲロリーナ様は
優しく見守っていた。

「…ツォン。私は、あなたがいつも私への祈りを欠かさず、
そして、あらゆる人間に対しアンゲロを布教しようと努めていた
その様子を、いつでも遠くから見ていました」

「あなたを騙し、この世から私達を直接的に消そうとしている
人間達に、私はこれから抗わなければなりません。
…クマエルも、既に犠牲となってしまいました」
「べ!!」

クマエルちゃんが…やられただと…?
有りえない…一体誰がそんな不届きな事を…!!

「あなたの怒りは、私の怒りです。
これからあなたの体に、私の全ての力を授けます。その力で
私と共にあの人間達と闘って下さい。……どうか、お願いです」
「私に任せてください!!あんな奴ら、私にかかれば数分も要りませんよ!
フヒヒヒ!」
「…くれぐれも冷静になって下さい。私達には、後がないのです」
「わかっています!さあアンゲロリーナ様、共に行きましょう」
「ツォン。…頼みましたよ」
そうアンゲロリーナ様が言うと、私は元の世界の時の意識が戻っていった。



……ここは、北の大空洞か…?
何故か、近くにアンゲロリーナ様に似た生物がいる。

『彼の力も取り入れましょう』
そうアンゲロリーナ様の声が聞こえると、その生き物は徐々に
私の体へと取り込まれてゆく。

これは……
みるみる内に、自分の体の底から力が湧き出るのが分かる。
『後は、私とあなたが一つになるだけです』
「アンゲロリーナ様…」
『ツォン。私はあなたが必ず勝つと信じています』

そう言い残し、私の体へとアンゲロリーナ様は吸い込まれていった。
と同時に、まばゆい光が溢る。

…やがて、私は自分の体の変化に気付く。
裸ソックスはもとより、背中には大きくて白い羽、下半身がイカの足の
ように、長い靴下が多数ぶら下がっている。


フフフ…

――私は、神となったのだ。

レノ…
イリーナ…

そして社長達…

私はアンゲロリーナ様の為に、必ずここで決着を付ける。
…必ずだ。

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