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τ月ζ日 刀♂

最近ツォンがおかしい。
レノはともかく、ルード、イリーナまでが長期に渡る無断欠席をしているというのにツォンは平然とした顔をしているし、時折アンゲローと、脈絡もなく叫ぶという奇行をみせる。
こんな人にタークスを任せて…ヴェルド主任、帰ってきてくれないかな…

そう思っていたのはどうやら僕だけじゃなくて短銃♀ものようだ。
とくに、短銃♀はイリーナが姿を見せないことを気にしてるみたいだ。
短銃♀は昨日、社長室へ呼び出され、Angello Crisisという極秘任務を言い渡された。
任務内容はアンゲロリーナ信仰者の拘束らしい。
よくわからなかったけど、とりあえず、ツォンっぽくなった人を捕まえればいいんだよね?
ツォンっぽくなった人…ツォンを思い浮かべて、ものすごくこの刀を使ってあげたい衝動にかられた。
…拘束じゃないと社長におこられるかなぁ……

⊂月c日 短銃(♀)

今日、刀にAngello Crisisの件を持ちかけたら喜んでOKした。
他にもロッドと散弾銃も同じくOKした。
短銃(♂)は熊の人形を抱きしめながらアンゲロアンゲロつぶやいていたのでコレルプリズン送りにしてやった。

さらにスカーレット部長から私と散弾銃にスナイパーCRと特殊接着弾が支給された。
なんでもこの弾に入ってる接着剤は宝条博士の特製で中和剤が無ければ半永久的にくっついたままらしい、
その上1000000度以上の熱にも耐えれるという優れものだそうだ。
これで熊の絆創膏を撃てばホクロビームは回避できる。

Ж月Я日 刀♂

極秘任務Angello Crisisが正式に稼動をはじめた。
メンバーは短銃♀、僕、をはじめロッド♂、散弾銃♀というタークスの面々だ。
短銃♂も声をかけたところ、時すでに遅し、っていえばいいのかな…「アンゲロリーナ信仰者を捕まえる」って言ったとたん「アンゲロー!」って叫ぶからびっくりした。
胸にはクマの可愛らしいヌイグルミを抱き締めてアンゲロと叫ぶ成年男子。
正直見ててちょっと痛かった。
ほぼ条件反射で切り付けたところ短銃♂のうざったい前髪が全部切れちゃった。
これで少しは現実がみえるようになったんじゃないかな…
前髪がなくなった途端、血走った目を見開いて「アンゲロー!」と大きな声でさけぶ短銃♂がぶっちゃけウザイので頭と胴体を切り離してやろうかと思ったけど女の子の前でそんなことをするのは気がひけるしやめておいた。
コレルプリズン行きの運送車に乗せられた短銃♂が前髪がなくなったことに絶望していたようでちょっと可哀想だと思ったので切り落とした前髪を束ねてセロハンテープで頭に貼ってあげた。
少したれてなさけない感じになってしまったけれど、細かいことを気にしてたら良い大人になれないから気にしない。
短銃♂は前髪がないときより元気になった気がした。
現実は見せないほうが親切なのかもしれない。

ω月Ν日 イリーナ

社長から謹慎処分を言い渡されて一週間以上経ち、年もあけてしまった。
ツォンさんは無事でいるかしら。毎日アンゲロリーナ様にお祈りは捧げているけれど。

ツォンさんの安否があまりに気になってしょうがないので、何とか落ちつくために
私が牛乳を飲もうと冷蔵庫を開けるとアンゲロリーナ様が入ってました。
私はビックリして思わず冷蔵庫のドアを閉めてしまいました。
きっと今のは何かの見間違いであろうと、思い直し再び冷蔵庫を開けると
なんとそこにはアンゲロリーナ様が白目を向いていたのです。
私は思わずドアを閉めましたが、きっと疲れていて見えもしないもの見てしまった
のだと思い直し覚悟を決めて改めて冷蔵庫を開けました。
するとそこにはアンゲロリーナ様が白目を向いてほのかにほくそ笑んでいるのです。
私はビックリして冷蔵庫のドアを閉めましたが、きっと幻覚を見たに違いない、
最近あまり寝てないから見えもしないものが見えてしまったのだと思い直し、
冷蔵庫を開けました。するとそこのには白目を向いたアンゲロリーナ様が入ってたのです。
驚いた私は気がつけば冷蔵庫の扉を閉めていましたが、気のせいだと思い直し
再びドアを開けると、やっぱり白目を向いたアンゲロリーナ様がほのかに笑っているのです。
思わず扉を閉めてしまいましたがきっと幻覚に違いありません、最近寝てなかったから。

と、思い直し冷蔵庫を開けると、やっぱりアンゲロリーナ様が入ってるのです。
思わず冷蔵庫を閉めた私でしたがこれは何かの間違いに違いない。
疲れているから見えもしない者が見えたのだと思い直し冷蔵庫を開けると
そこにはなんと白目を向いたアンゲロリーナ様が・・・、うわっと思い冷蔵庫を閉めましたが
きっと疲れのせいで幻覚を見たに違いない、と自分に言い聞かせ再び冷蔵庫を開けると

なんとアンゲロリーナ様が白目を向きながら笑っているのです。思わず冷蔵庫の扉を閉めましたが
きっと気のせいで、何かと見間違えをしたのだと自分に言い聞かせ、扉を開け直すと
なんとそこにはアンゲロリーナ様が白目を向いて笑っていたのです。

助けてツォンさん助けてレノ先輩たすけてねえさ
(錯乱した文字で書かれたぐしゃぐしゃのメモはここで途切れている…)

ω月★日 レノ

自宅謹慎なんてしてると、暇でしょうがねぇ。
イリーナやルードはどうしてるんだろうか、なぜか連絡も取れやしねーし。
不貞腐れてボーっとしてると、色々な事が頭に浮かんでくる。
ツォンさん……いつからああなっちまったんだ……。
昔はもっと冷静で、落ち着いていて、頼りになる人だった、はずだ。
そういえばこんな事もあった。

俺がタークス入りしてから今まで、ツォンさんにはよく怒られていた
理由は遅刻だとか、些細な喧嘩とか

ツォンさんは怒り始めると徐々に興奮してホクロが発光してくる
第一段階で目をカッと見開きぎらつかせ、顔が真っ赤になる。この段階ではまだ説教も流暢だ
第二段階に入ると興奮スイッチがどこかで入り、鼻の穴がプクープクー、ピクピクッとなり、
鼻からフシューと空気が漏れだす。目をギラギラ充血させながら鼻の穴をひくつかせる顔がもうダメ
何とか正座の姿勢で俺はうつむき必死に堪える段階に入る

最終段階に入るともう何を言っているのか分からない
「お前はいつもプルルーッだから私はンゴッゴッなんたらかんたらフリイィィィィィ」
穴という穴から息を吐くと共に奇妙な音が出、吸うと鼻がンゴッゴッと鳴りの繰り返し
興奮すると段々早くなっていくのでンガンガ速度も比例して早まり、本当に何を言っているのか分からないし、
こっちは笑いを堪えるので必死だしで大変だった

最後はついに耐えられず俺がゴバァッと吹き出して終了
ルードもイリーナも私が怒るといつも笑うんだよなぁ、とポツリ不思議そうにもらしていたことがあったけど、
気付いてないのかツォンさん……。

そんな事を思い出していたら、ずっと昔からツォンさんはあんな感じだったという結論に達した。
もういいや。寝よう。アンゲロクライシスとかいう作戦が進行中だと聞いたが、謹慎中の俺には関係ねぇ。
忘れるんだ、あの人の事は。忘れるんだ……全部……──クマエルの事も……。
布団に入った俺は、なぜか泣いていたような気がする。

Ω月゛日

町の外れの洞窟にモンスターが住み着いたというウワサを聞きつけ
勇気あるルードがモンスター退治に向かった。

ところが洞窟にいたのはツォンで、
ニコニコしながらルードに向かって手を差し出してくる。
「握手したいんだな」
ルードはそう思いツォンに近づくと
ツォンは突然差し出したその手をルードの股間にのばし、2つの玉をグッと握りしめた。
「なにするんだ!手をはなせ!!」
ルードは怒鳴ったが、ツォンは玉を握ったまま。そしてルードにこう囁いた。
「プラス2?マイナス2?」
どうやらルードにどちらかを選べと言っているようだった。
そこでルードはとりあえず「プラス2」と答えると
ツォンはあっさりと握っていた手をはなしてくれたのだった。

ほうほうの体で洞窟からルードは逃げだしたが、股間には妙な違和感が。
そこでズボンとパンツをおろして見ると玉が4つになっていた。
慌てたルードはそのまま町医者の所にかけこみ、
何とかしてくれと泣きついた。しかし医者は
「増えた2つを切ることはできるが、手術で切るのは非常に危険です。
それよりももう一度老人の所へ行って、 今度は『マイナス2』と答えたらいいじゃないですか」

名案だと思ったルードは洞窟に戻り、ニコニコしているツォンに近づいた。
するとツォンは先ほどと同じようにルードの玉をグッと握りしめてきた。
「しめた!」と思い待っていると、ツォンがこう囁いた。
「プラス4?マイナス4?」

Ω月б日ルーたん

飛行機に乗っていたルーファウスが、隣の席のツォンに提案をした。
「退屈しのぎにゲームをしないか?交代で質問を出し合って、答えられなければ相手に罰金を払う。
 君の罰金は5ギル。私の罰金は・・・そうだな、ハンデとして50ギルでどうかね。」
「受けてたちましょう。社長からどうぞ。」
「地球から太陽までの距離は分かるかね?」
ツォンは黙って5ギル払った。
「勉強が足りんな。約1億5000万kmだ。『1天文単位』でも正解にしたがね。ツォンの番だ。」
「では社長、丘に上がるときは3本脚で降りる時は4本脚のものをご存じですか?」
ルーファウスは必死に考えたが解らず、とうとう目的地に着いてしまったので、50ギル払って尋ねた。
「降参だ・・・解答を教えてくれ。」
ツォンは黙って5ギル払った。

л月з日 刀♂

Angello Crisisが始まってもう数日がたつ。
成果は一向に向上しない。
第一の理由としては僕たちのアンゲロリーナ信仰についての知識が少ないためだろう。
とりあえず、どこからどのような経緯で広がっているのか、それだけでも抑えておきたいところだ。
一番この件について詳しいと思われるツォンはもう最近は話しかけても僕のわからない言葉を喋っている。
ずっと宇宙人と交信してるみたいだ。
きりがないから神羅課長とかいう幸薄そうなアンゲロリーナ信者を捕らえた、と聞いたのでその人の様子を見に行った。
外から少し覗いたところ、なんだか手のひら大の大きさの人形のようなものを「アンゲロリーナ様」と言いながらあがめているようなので押収。
その際に、叫びながら足にすがり付いてきたのでウザかった。
押収した人形はゴム製・・っていえばいいのかな?
キュー○ー人形のようなさわり心地で、なんともいえないいびつな形をしていた。
しかも白目をむいててキモイ。
これが一般的にアンゲロリーナとしてあがめられているモノなのかもしれないと思って、ためしにイリーナが監禁されている部屋の冷蔵庫の中に入れてみた。
ふふふ・・・イリーナ、今頃どうしてるかな

●月●日ソルジャー

今日、外に歩いてたら道路のど真ん中に座りながらパン食べている大きな刀を持った男が
いた。
そーいえば変なクマが埋まってたので可哀想だから拾って洗ってたらレノが
来て涙流しながら「間違いない俺のクマエルたんだっと」てすっごく喜んでた

ω月〇日 ツォン

監禁中。私は正しい事をしているのに社長が反省しろとか言う。
で、私が黙っているのをいい事に、毎日説教をねちねちされる。
こっちは監視中はお祈りも我慢してるのに。
だから、やっつけようと思って、レノのくれたクマエルちゃん絆創膏に
アンゲロリーナ様呼ぶ方法聞いたら
「さぁ。ナマニクとか置いて、合わせ鏡とかすんじゃね?」
って言われた。
その日の夜すぐに合わせ鏡して、なけなしの夕食から肉だけよけて
それを鏡の真ん中に置いて体育座りして、ずぅっと見てた。
で、気が付いたら朝。

翌日社長に
「お前、昨日外から見てたけど、ずっと何してたんだ?」
って詰問されたので、やばいって思って、
「あぁやると肉がいっぱい見えるんです」
って言ったわけ。
そしたら、夜すき焼き出してくれて部屋のカーテンもクマちゃん柄にしてくれた。
なんか急に優しくなって、「本当に反省したのならば、ここから出す事も検討している」
って言ってくれた。

やっぱりアンゲロリーナ様ってすごい。

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