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β月α日 ツォン

───という夢を見た。
夢の割には、獣くささや息苦しさがリアルだった。
なんだか精神分裂を起こしたような気がするが、
アンゲロなので気にしない事にする。

だいたい既に知っている人は知っていると思うが、
真面目でまともでカッコイイ私も、ここと同じような
どこかに存在しているのだから。
まあ、今ここにいる私のアンゲロさには誰も勝てないのだがね。
フヒヒヒヒ!!すいません!!

ところで、タークスの仲間が誰もいないのはどういう事だ。
レノは監禁……ゲフンゲフン かくまっているから別として
(薬の効果を社長で確かめるまでは、レノへの投薬は後だ)
イリーナは珍しく、連絡も無く無断欠勤しているし
ルードはなぜか童心に返ったのか、糸でんわで遊んでいたと思ったら
どこかへ行ってしまって姿が見えない。

ちょっとさみしい。
アンゲロゲロ。

β月Ν日 レノ

ここに閉じ込められて何日経っただろう。
助けは来ない。ルードやイリーナにも危険が迫ってるのか?
このままじゃ神羅カンパニー、いやミッドガル全体が……。
俺の精神もそろそろ限界だぞ、と。1日の内で正気で居られる数分を使って
なんとかこの歌を作り上げ、ツォンさんに渡した。
ツォンさんは喜んでた。さっそく神羅の社歌にするそうだ。

<<クマエル賛歌 詩・レノ 曲・レノ>>

 つきよの晩に見ているのはだれ?
 おお クマエル アンゲロリーナの使者よ
 ンーーーワワワワーーーー♪(コーラス)

 ときめき つたえて(台詞)

 ああクマエルその美しい瞳よ
 ン〜ンン〜ン〜〜ン〜〜〜♪(コーラス)
 げんだい社会の汚れを清めるその存在
 ロマンティック クマエル ラララ

 にちじょうの疲れを癒すその麗しいすがた
 きれいな毛並みはまるでハゲ頭に生えるの産毛のよう
 ヲーーーヲヲヲーーーヲーーー♪(コーラス)

 つぶらな瞳で これ以上僕を見ないで
 けして 君を はなしたりしないから
 ロマンティック クマエル ラララ フォーエバー

誰か、このメッセージに気付いてくれ。頼む。
世界がアンゲロに包まれる前に、誰か。

β月Ν日 ツォン

さっきレノの日記でアンゲロについての唄を見せられたんだけど…
ハァハァ…辛イヒヒ!!
踊り狂いたい!!
誰か助けて!!!
踊りたい!踊りたい!踊りたい!踊りたい!踊りたい!踊りたい!
踊りたい!踊りたい!踊りたい!踊りたい!踊りたい!踊りたい!
あんなエロい歌詞見せ付けるなんてっ!!!
荒れ狂うアンゲロ必死でみんなにバレないようにするのが
精一杯で…もう駄目!
もう駄目!

β月♂日 イリーナ

ジャングルでの生活も結構長くなってきた。
昨日はゴリラの家族に新しい子供が産まれたので、
みんなで一緒にアンゲロダンスを踊った。

その夜、私はふと何かを思い出した。ツォンさんとレノ先輩のことだ。
そうだ!私はレノ先輩をツォンさんの家から引きずり出さなきゃいけないのに、
何でこんなところで落ち着いていたんだろう。

早速今日、良くしてくれたゴリラ達に別れを告げて、ミッドガルへ旅立とうとした。
でも・・・何だろう。何かに引っ張られてこれ以上先に進めない。
まるで、私の体から紐か何かが出ていて、それがジャングルの木に引っ掛かってる感じ・・・。
ああ、私はジャングルでないと生きていけない体になってしまったのかしら・・・。
最後に一目ツォンさんに会いたかった・・・。

さようならミッドガル。
さようならツォンさん。
アンゲロリーナ様のご加護を受けながら、これからも力強く生きていきます・・・。

アンゲロ月 アンゲロ日 ツォン

私は久々にカダージュと呼ばれる危ない者達と
我々神羅が闘い、勝利するという実話を基にして作られた
アドベントチルドレンと呼ばれる映画を見た。

そして私は思ったのだ。
私の出番が異様に少ないことに。
これはどういうことだ!!
レノやルードは大活躍してるにも関わらず私は何故アンゲrgvrfンmwdコpgvbhrフェ

社長・・・?うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

∴月⇔日 ルー様

先日、ツォンにビタミン剤を貰ったが、掛かり付けの医者に薬を出されたので、結局飲まずに終わった。
最近秘書が風邪気味だと言うのでビタミン剤をやったのだが、飲んで5分ぐらいしたら「アッ…アンッ…アンゲロォッッ!!」と恍惚として叫び始めてビビった。
叫んでいたのは最初だけで、すぐに大人しくなったが、会話の至る所に「アンゲロ」とゆう単語が入っている。
ぶっちゃけうざい。

なんだか腹が立ったので秘書を張り倒し、1stソルジャーを50人連れてツォンの所へ向かった。

⊂月 б日 ルード

俺は正直、ティファのことが好きだ。
そして、今、衝撃的な写真を見つけてしまった。
ロッズなる者がティファタソに殴られているのだ。
羨ましきロッズ!
同じティファタソ好きとしてこれは許せない!
前はやられたが今度は勝つ!
そういう訳で俺は今日もトレーニング。
もちろん全裸。

∴月⇔日 ルーファウス神羅

今日の昼1stソルジャーを50人連れてツォンの所に向かった。
前々から様子がおかしいとは思っていたが、その時の光景は常軌を逸していた。
その時ツォンは本社の外の比較的人目につかない所にいたのだが、
クマエル〜だとかアンゲロリーナの使者等と意味の分からないことを呪文の様に呟き、
時折ンーーーワワワワーーーーとかヲーーーヲヲヲーーーヲーーー等と奇声を上げながら人間とは思えない動きで動き回っていた。
・・・いや、今思えば本人は踊っているつもりだったのかも知れない。
ツォンは私たちが見ていることに気付くと筆舌に尽くし難い表情で私たちを凝視した。
その表情というのが、泣きながら喜びながら悲しみながら楽しみながら哀しみながらそれでも快感を得ているような・・・
いや、何を書いているんだ私は・・・。
とにかく、あの時のツォンの顔は私ですら悪寒が奔ったほどのものだった。
そしてツォンは数秒間私たちを凝視した後、何故か今度は笑顔になり今の呪文を社歌にしたいと言い出した。
私は唖然としたが、何とか平静を装いやんわりと断った。私はここで本来の目的を思い出し、例のビタミン剤について問い質した。
事としだいによってはツォンを拘束するつもりで来ていたが、アレは宝条から貰った物で、自分は何も知らないと言う。
確かにツォンにおかしな薬品を造る技術があるとは考え難いが、今のツォンは明らかに異常だ。
宝条のところには明日にでも向かうとして、ツォンに付いても調査をする必要があるだろう。
それにしてもまだ体の調子がおかしい。医者の薬は効いている気はするのだが・・・。

余談だが、ツォンの話によるとあの呪文はクマエル賛歌と呼ばれ、レノが作曲したらしい。
聞いてもいないのに嬉しそうに語っていた。
まさかレノまで・・・・・?

∴月⇔日 レノ

最近はずっとツォンさんと2人だ。俺の作ったあの歌はどうなったんだ、と。
俺のメッセージは誰かに届いたんだろうか。気になって仕方ないが問いただす事も出来ない。
俺もここでの生活に慣れてきて、少しマズイような気がしてきてる。

ところで、うちのツォンさんはクマエルの観察日記つけてる。
スケッチブックにサインペンで描いて、色鉛筆で色まで塗ってる。
俺がテレビ(アンゲロ教育テレビしか見せてくれない)見てる中、
一人楽しそうにクマエルをチラ見しながら描いてる。毎日。
どんなの描いてるのかと覗いてみたら「描いてる途中だから駄目!」って隠された。
で、描き終わったら「描けた!(*´∀`*)」ってわざと聞こえる様に大声でスケッチブックを閉じる。
待ってる間にテレビに夢中になっちゃって俺が無視してたら(´・ω・`)ショボーンて顔する。

描いてる所は見られたくないけど描き終わった日記は見て欲しいらしくて、
夜はいつも部屋のテーブルの上にスケッチブック置いてる。
今まで見た事なかったけど一昨日何気なく見てみたら、絵と文の下に「コメントコーナー」っていうのがあった。
毎日「コメントコーナー」って書いてるのに、俺、この日記見なかったから何も書いてない。
ずーっとコメントコーナーが空欄になってて可哀想になって、書き込んでみた。
でも何て書いたらいいか分からなくて「可愛く描けていますね、と」の一言だけしか書けなかった。
それで昨日の夜、またリビングのテーブルに置いてあったから見てみたら…

お返事コーナー
レノくんコメントありがとう。ツォンさんとっても嬉しいです。絵も褒めてくれてありがとう。
昔は絵が下手だったけど今は毎日描いてるから少しは上手くなったかもしれません。
たまにでいいからコメントくれるとツォンさん嬉しいよ。 【印鑑】

∴月Φ日 リーブ

本日出社したら私のデスクの上に封筒が置いてあった。
『重要書類在中(持ち出し、廃棄禁止)』と仰々しく書いてあるので
眉をひそめながら中身を取り出すと、テープと歌詞カード(>>これ)が1枚。

なんやこれ。クマエル?どこかで聞いたことがある気がする。
確かタークス本部に行った際、誰かが抱いていたぬいぐるみ───

考えに沈みながら、とりあえずテープを聴いてみようと、
レコーダーにカセットをセットし、スイッチを入れようとしたら
ケット・シーが必死に私にしがみつき、泣きながら止めてきた。
嫌な予感がするらしい。封筒を見た時から震えが止まらないという。
動物(ロボだけど)の勘というものは、これでなかなか馬鹿にできない。
私はそれを聴くのを断念し、ケット・シーの頭を撫でてなだめた。

そうこうしながら歌詞カードを裏返すと、手紙がついていた。
『このカセットテープを都市開発部門の社員分コピーして、
 全員にお配りください。どうかよろしくお願いいたします』
署名は───Zeng。………ツォン?
ケット・シーの震えはいまだやまない。
いったい何が起ころうとしているのだろうか。
とりあえず、

『ツォンさん?歌詞カード見ましたけどねー、あんなんで商売になるんですか?
 ツォンさんらしいですけどね。お手伝いできる事はありませんわ。
 だいたいカセットテープってのが時代遅れで(ry』

と、彼の携帯の留守電に吹き込んでおいた。マルチ商法には加わるまい。
うん、本日も正しいことをした。

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