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&月・日 レノ

最近のツォンさんはまともだ。
いや、正確に言うとまともな割合がちょっと増えた。
あの古代種の声をアンゲロリーナ様のお告げと勘違いして以来、
毎日3回するお祈り以外はとくに布教活動はしていない。
仰せの通り頑張るのをやめたらしい。
しかし、例のアレだけは定期的に必ずやるらしいと言うことが分かった。
社内連絡掲示板にふと目をやると、派手な黄色の紙にクマエルのイラストと一緒にこう書かれていた。

【第二回アンゲロ祭りのお知らせ】
日時: &月?日〜&月!日
場所: 新羅本社ビル前
備考:アンゲロリーナ様の力で暑さを吹き飛ばそう!
   なお、総務部調査課のレノ、イリーナの両名は必ず参加すること。

最後の一文を読んでから、体の振るえがとまらない…。

&月£日  宝条

アンゲロリーナとやらが消滅してからしばらくたった…
正直、現在のミッドガルは退屈で仕方がない。
いや、ミッドガルだけではないだろう。
アンゲロリーナが消滅してから世界には平穏が訪れたが、その代価として刺激が失われた。
思えば、アンゲロリーナと対峙していた頃…あの頃程、私の研究欲が満たされた事はなかった…。
まったくの未知の者を前に、私は怯むどころか高揚し、被洗脳者用の特効薬の作成や、弱点の探索に当たった…。
恐ろしく多忙ではあったが、今の様に退屈ではなかったな…。
ふっ。またあの様な未知の敵(サンプル)の出現を望む私は異端なのだろうか…?
いや、これこそ…好奇心こそが、我々人類に与えられた進化の為の唯一の方法なのだろう。


む、そこの裸ソックス!!私の可愛いサンプルにブツブツ何をと呟いている!!

&月§日  ハイデッカー

例のアンテナクリスマス、いや、アロエクライミングだったか?
ともかくそれが終わったらしい。
まあ、俺には関係のない事だがな。
今朝、タークスの短銃♂とすれちがったので
スカーレットから教わったエレガントな挨拶した。
かなり引かれていて、むかついたから殴っといた。

&月§日  ルーファウス


今朝、短銃♂から連絡があった。
ハイデッカーがアンゲロと叫び、殴りかかってきたらしい。
まったく、このいそがしい時に・・・。
とりあえず家宅調査して、
ハイデッカーは監禁して様子を見ることにした。

ツォン U月&日

「ちょちょちょちょ、ツォンさん!どこいくんですか、と!」
「気にするな、レノ。すぐに戻る」
「そういう問題じゃなくて・・・・・ギャァァァアア!」

コスモキャニオンで星にお願いすれば、
アンゲロリーナ様に会えると思ってへりから飛び降りた。
レノが私を止めたりするから、一部スーツが破れてしまったけど
ここはあえて気にしない。いや、せっかくだからもう脱いでしまおう。

大体レノは私を何だと思っているんだ。
人類最強の私がへりから飛び降りたところで・・・・アイタタタ。
すねぶつけちゃった。こんな所に変な森があるせいだ!
アンゲロリーナ様にお願いして焼き払ってもらおう。

そうと決まれば、
「ホクロパワー!」
急いでコスモキャニオンにむかわなくては!

−−−−その頃。

「え?ツォン、きてないよ?」
「おっかしいなぁ。このへんに落ちたはずなんだけど・・・・」
「落ちたって・・・・生きてるの?」
「仕方ない。イリーナを呼ぶか。もしかしたらツォンさんに
 発信器をつけてるかもしんねぇ・・・あ、もしもしイリーナ?」

は、発信器!?( ゚д゚)

「え!?無理? ・・・・祭りの準備で忙しい?そんなもんルードに・・・・
 は?警察に捕まった? ・・・・全裸で出勤? 今、社長が迎えに?」

け、警察!?全裸!?( ゚д゚ )

「わかったぞ、と。こっちはこっちで何とかするから。じゃあな、と」

ピ。

「ん?どうした? 震えてるぞ、と。寒いのか?」
「・・・・・・・・」
「何だよ。言いたい事でもあるのか?ハッキリしろよ、と」
「コラァァァァ、レノ!」
「あ、ツォンさん!!どこ行ってたんですか。探して・・・・アイタッッ!」

コスモキャニオンにへりがとまっているから、もしかしたらと思ったら。
やっぱりレノだ。しかも、動物虐待の現場に遭遇してしまうとは。
これもアンゲロリーナ様のお導きに違いない。
私はレノにゲンコをくらわせ、正座をさせた。
「こんな可愛いワンちゃんに何をしているんだ、お前は!」
「ワ、ワンちゃん!?おいら、犬なの!?ってツォン、何で裸!?」
「ち、違いますよ、と!この犬はクラウドの仲間の・・・・えっと」
「え!散々喋っておいておいらの名前忘れたの!?」
「まぁ、いい。それよりクラウドもこんな所にペットを捨てるとは
 全くけしからん!仕方ない、タークスで保護するぞ」
「「え!? ( ゚д゚ ) ( ゚д゚ ) 」」
「いやいやいや、ツォンさん。それはちょっと違うと思うぞ、と」
「そ、そうだよツォン!おいら捨てられたんじゃないよ!」
「つべこべ言うんじゃありません! レノ、すぐにへりを出しなさい。
 ほら、ワンちゃんも早くこっちへ来なさい!」
「・・・・・・・・。わかりました。ほら、行くぞと」
「え!何で!?何で!!? おいら全然納得いかないんだけど!」
「人生ってそういうもんだぞ、と」
「何それ!どんな諦め!?」
「こら、そこ!お喋りするんじゃありません!!」
「あ、すみませんね、と。 ・・・・ほら、怒ってるから。またおかしな事になるから」
「何これ、タークスってこんなんだった!?ていうか、ツォン変だよ!?」
「それを言っちゃあ、おしまいなんだぞ、と」

後日談 ナナキ

「ナデナデシテー、ナデナデシテー」
タークス本部に連れてこられてから3日。
暇さえあればツォンがナデナデを要求してくる。
おいら、鬱病になりそう。・・・・誰か助けて。

短銃♀

今日、ただでさえAngelo Clisisの後始末にてこずってるとこにツォンさんが「ナデナデシテー ナデナデシテー」ってあまりにうるさかったから
ハイデッカーの車のトランクに閉じ込めておいた。
反省はしていない。

刀♂   萌月 斬日

Angelo Clisisが終了し、僕は手裏剣と一緒に書類の整理をする毎日が続く。
昼休みは眼鏡と刀を拭くのに忙しいし、休む暇もない。

そんなこんなで忙しく歩きまわっていた僕はふと通りかかった倉庫で短銃を見かけた。
ん? 一体何をしてるんだろう。
自分の体よりでかい荷物…、何かおぞましいオーラを放つそれを一生懸命トランクにつめこんでる。
あの子はまさかまた1人で危険な仕事に手を出そうとしてないか?

「おーい、短銃! 何してるんだそんな所で―――――」

言いかけて、僕はやめた。
眼鏡を直しよく見るとそれが何なのかすぐにわかった。
あの見慣れた黒髪長髪に黒いホクロは…‥・・・ ・  ・


マズい、関わりたくない。
僕はすぐに180度向きを変え、早足でその場を去った。

気にしないフリをしながら階段を登っていたが、その道のりで色んな思いがかけ巡る。

(全く…ナデナデシテーナデナデシテーってうるさいからって
 真っ暗でせまい場所に閉じ込める事なんて、ひどいじゃないか。
 Angelo Clisisの時から思ってたけど、短銃は何だか行動を急ぎる部分があるんだよね。)

(僕だったらきっと、あんな事はしない。
 あんな風になった主任を1人でほっぽりだしたりなんかしない・・・
 タークスの誇りを失い、自我崩壊をした男にする事はひとつ。
 この刀で真っ二つに斬ってあげればいいだけだ。)


そんな事を考えながら、仕事場に戻った。
そして仕事の続きをする前に、一応先輩として後輩のフォロー位はしておこうと思い。
何故かオフィス内でわふわふしていたオレンジ色の毛のわんちゃんをとっつかまえ、
カツラをかぶせ、眉毛とホクロをマジックで書いて、主任のデスクに座らせておいた。
ヨシ。
これで誰も主任が居なくなったなんて気付かないね。
「一日一善、今日の仕事これにて終了!」
僕の爽やかスマイルと刀がキラリと光った。

今のところ、ここまで