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Ф月щ日 レノ


社長に
「今月給料80%カット、仕事量2倍」
という宣言を受けたあの一件から、2週間と少し経った。
あの事件の次の日から、宣告どおりに仕事量は2倍に増えた。
内容はというと、いつものデスクワーク、ソルジャー候補のスカウト、
暗殺(おっと、これは社内秘密だったかな、と)、ぶっ壊れたツォンさんの相手に加え、
会社内の全部の階のトイレ掃除、社長室の窓拭き、
タークスのお茶汲み(社長含む)、仕事に飽きてタークスのオフィスに来た社長の愚痴を聞く役、
昼休みの買出し係など、ほとんどタークスに関係ない仕事ばかり。
サボる暇もないぞ、と。

それに、実は先週、先月分の給料が入ったのだが、
こちらも社長の宣告どおりに80%カットされたいた。
給料明細を見て俺は驚きでメテオを呼びそうになった。
それでも社長はしばらくの間は80%カットし続けるつもりみたいだし、
当分この金額でやっていくしかない。
……といっても、この金額じゃあろくに生活さえできない。
この内のほとんどが家賃に消えていく。
食費など、生活費に当てられる金額はごく僅か。
俺は恥を忍んで、他のタークスに金を借りることに決めた。


……とりあえず短銃♀とイリーナの姉妹から。
「え?お金ですか?」
「なんとか貸してくれないか、と」
うわ。なんだそのかわいそうなものを見る目は。
「……レノさん、言いにくいんですが……」
「蜜蜂の館に行き過ぎなんじゃないですか?」
あまりに失礼だったから、こっちから断った。
蜜蜂の館なんて、実は1回しか行ったことねぇよ!高いから!
……泣いてねぇよ!

次。一緒にいた、ロッドと散弾銃に聞いてみる。
ロッドの揉み上げが素敵にアシメになっている。美容室などでセットしてもらったようではなく、
人為的に引き抜いたような感じだが……気にしないでおこう。
「お金?ごめんなさい、私、カードしか使わないから現金は持っていないの」
「今月の給料は全部揉み上げに使っちまったよ」
ブルジョアと揉み上げ野郎にはタークス光線してやった。

次。格闘’Sの2人。
「金なら貸さん」
だよな。こいつ、給料のほとんどを貯金してそうだし。
「バナナに使った」
なんでこいつはたった一言が熱いんだろう。

次。刀と手裏剣。
「自業自得よ。足の臭いなんか嗅ごうとするから」
……ごもっとも。
でもさ、気になるじゃん?俺だけ臭いのかもしんないし。
今月の給料の残りで、足の臭い消しスプレー買っちゃったくらいだし。
「お金って言うのは、自分で働いて掴み取ってこそ、輝くものなんだよ」
うるせー変態。少なくともお前の2倍働いてる。

残るはツォンさんとルード、か……。
ツォンさんは相変わらずでうざったいから、無理だな。
ここはひとつ、相棒のルードに頼み込んでみるか。

「なぁ、ルード。悪いんだけど、しばらく金貸してくれないか、と」
俺は皆が出払った昼休みに、自分のデスクでフォーフォー言ってるルードに頼み込んだ。
「……しょうがない。レノが給料カットされたのは、上手く言い訳できなかった俺のせいでもある。
 少しでいいなら、貸すぞ」
さすがだ、相棒!!!!
いつもハゲだと馬鹿にして悪かったな。やっぱお前は頼れる。
「その代わりと言っては何だが……」
ルードが、徐にデスクの引き出しから丸いケースに入った軟膏を取り出した。
「これを、俺の尻に塗ってくれないか?」

…………ええぇぇぇぇえっぇぇぁjrさひアンゲロうやてfsだえいhgdうぃてひdj!?
なんでそういう展開!?ねぇ、なんで!?
どういう人生を歩めば、他人のケツに軟膏塗る選択肢が出てくんだよ!
え、ていうかなにルードはもう服脱ぎ始めてんの!?
上まで脱ぐ必要ないじゃん!全裸になる必要も無ぇ!!
「この前の一件で切ったときに病院に行って、貰った薬なんだ。
 一人だと、なかなか塗りにくくてな……」
いや、そうじゃなくて!
こんな展開、ありえなくね!?
タークスがなんで全裸になって机の上で四つん這いになって、軟膏塗られんの待ってんだよ!!
「……は、早くしなさいよ、ばか」
えー、ツンデレぇ……!?

とりあえず軟膏を指で取ってみたものの、さすがにヤローのケツにこの指を持っていきたくない。
しかし、このミッションをクリアしないことには、金が手に入らねぇ。
今更他に借りれる当てなんて、当然ない。
あぁ……金を取って人間としての何かを捨てることになるのか……!?
…………そうだ!!
「なぁ、ルード。これ、指で塗らなきゃダメか?」
「いや……塗ってもらえるなら、何でもいいが……」
「じゃあ、こうさせてくれ、と」
そう言って俺は、ロッドのデスクの上から、彼の武器であるロッドを持ってきた。
そして、そのロッドの先端に軟膏を塗りつける。
「これで塗ってもいいか?」
「ん……まぁ、いいだろう」
よし!これで俺は人としての何かを失うこともない!
このロッドは、持ち主が帰ってくる前に別のロッドと取り替えればいい。
うはー!俺って天才じゃね!?


「よし、ルード……塗るぞ」
「さ、さっきから早く塗ってって言ってるでしょ!もう……」
ツンデレに殺意を覚えたのは初めてだが、仕方がない。行くぞ!
手に力を入れて、ロッドをルードのケツに突きつけた。
先端の軟膏がよく塗れるように、少し動かしたりもする。
「あ……っ らめぇ!ロッド、冷た…… んんっ!」
きめぇ。
それでも金のためだ。俺は無言でロッドをぐりぐりとルードのケツに押し込むように動かした。
そのときだった。

ガチャッ

「おい、レノ。最近は仕事を真面目にしているようだし、給料カットを止め――……」
アッー!社長ぉぉぉぉぅぅぅぅうなskrじdせbじsfsんzbさfd!!?!?
なんつータイミング!神のタイミングじゃね!!?
「あ……しゃちょ、ぉ……」
え、ルードさん、なにその声。幼女?
「……レノ……1度ならず2度までも……
 この状況、詳しくかつスマートに説明してくれないかな?」
やべぇ。社長の目がやべぇ。
今にもメテオ呼びそう。マジやぇ。
「えぇとですね……」
困った、言葉が見つからない。
同僚のケツにロッド(しかも他人の)突っ込んでる時点で、言い訳なんかしても無意味だ。
だって今回は現行犯じゃん。無理無理無理。

「社長……、待ってください」
幼い声が抜け切らないルードが、なんとか机から降りてきた。
ロッドはケツに突っ込んだままだ。
「これは、俺が頼んだんです」
「お前が……?」
「はい。最初は指でしてくれないかと頼んだのですが、レノがどうしてもロッドでやりたいと言い出しまして。
 私も最初は嫌々ながらだったのですが、レノが無理矢理に動かしたものですから、
 多少声が漏れてしまいました。
 しかし、それでもなお、彼はロッドを動かすものですから――――……」
え、なんで誤解が生じる言い訳なの?
確かに合ってるよ?指はいやだったもん。
ていうか社長も捨て犬を見るような目でこっちを見ないで。

「……そうか、同意の上でだったのか」
「はい。ですから、レノを責めないで下さい」
「悪かったな、レノ。まさかそんな趣味があったとは思わなかった」
違うけど、もう何も声に出ない。
アンゲロリーナ様、僕は生きていく自信がありません。
「しかし、最近のレノの仕事ぶりは認めよう。よって、仕事2倍と給料80%カットは無しだ」
「本当ですか!」
「ああ。今日からは、仕事5倍と給料の98%をカットさせてもらう」

視界にはしょっぱい水しか映っていなかった。

&月$日  ヴィンセント

先週ルーファウスに例の件で電話をしたところ、
「プラチナ会員証? あぁ、そういえば約束したな。
 だが、私は忙しい。欲しければ取りに来い」と一掃されてしまった。
別にプラチナ会員証が欲しいわけではない。
私はただ、約束を守らないルーファウスに一言いってやろうと
そう思ってここにきたんだ。だから別にプラチナ会員証などはどうでも・・・・

「え?ルーファウス様ですか? 失礼ですがどのようなご用件で?」
どのような?どのような用件と受付で聞かれても答えかねる。
「どこにいるか教えてくれればそれでいい。私から訪ねる」
「そう言われましても・・・・」

  ーーー両者無言のまま、30分が経過ーーー

私は気が長い方だ。だが、この状況はさすがにイライラする。
何かいい方法は・・・・・・・あ。 タークス。
そうだ。あいつらに聞いた方が早い。そうと決まれば早速!

エレベータのボタンを連打し、タークス本部にって・・・・
場所が、場所が思い出せない!というより、ここは一体どこなんだ!!?
「うわぁぁぁ!」と頭を掻きむしっていると
「な、何やってるんすか? こんなところで・・・」
イリーナが現れた。明らかに私を疑っている目つきだ。
「一人っすか?ってか誰かに用事でも?」
「そ、その通りだ。ルーファウスに用がある。奴はどこだ?」
「社長・・・ですか?・・・・社長に何の用っすか?」
だからそれは答えかねると何度言わせればry(実際には1度も言ってない)
「・・・・まぁ、いいや。案内しますからついてきて下さいよ。迷子」
「ま、迷子!!?」
こ、これも私に与えられた罪なのか・・・・ルクレツィアァァア!!

「ここですよ。失礼のないようにお願いしますね。お じ さ ん」
「お、おじさん!!?」
ま、まぁいい。このくらいの年の子からすると私は確かにおじさんだ。
怒ってはいけない。それよりも、
「失礼する。 早速だがルーファウス、約束した・・・・・・あ。」
扉を開けると中に赤毛がいた。目があって一瞬固まる。
「・・・・レ、レノか?」
「そうだぞ、と。 社長ー!お客さんですよ、と!!」
窓拭きをしていたレノがバルコニーにいるルーファウスを呼ぶ。
彼は確かタークスのエース。一体何故窓拭きなんかを・・・・という
疑問はいったんおいておくとしよう。
「ヴィンセントか。 久しぶりだな。あれをとりにきたのか?」
「ああ。私は約束を守らない者が許せない主義でな」
「そうか、まぁいい。これが約束のプラチナ会員証だ。
 1回しか使えないが、受け取ってくれたまえ」
「な、何ー!!!何故だ!?何故なんだ!?」
「回数無制限などと誰が言った?プラチナ色の会員証だ」

  ーーーヴィンセントのリミットブレイク!!!ーーー

ヴィンセントの攻撃「貴様に絶望を送ろうか!?」
ミス!ヴィンセントはルーファウスにダメージを与えられない!
ルーファウスの攻撃「いい年して蜜蜂の館などみっともない」
ヴィンセントは心に1000のダメージを受けた!
ヴィンセントは動けない。ルーファウスの攻撃!
ルーファウスは仲間(レノ)をよんだ!
レノの攻撃「うるさいんだぞ、と!散らかすなバカやろう!!」
ヴィンセントは汚い雑巾をくらった。

ルーファウスはヴィンセントを退治した。経験値10を手に入れた!

&月$日  レノ

クラウドの仲間が社長室にやってきた。正直名前なんて覚えてねぇし、興味もない。
それより窓拭きを一生懸命やらなければ2%の給料さえ危うい!

けど・・・・きになるよなー。何話してるんだ、と。

なになに、プラチナ会員証?
あれ、クラウドへの報酬じゃなかったっけ?まぁ、いいや。それで?
ふんふん。・・・・えー、あれ1回しか使えないの!!?
社長それはいくらなんでも詐欺なんだぞ、と。

あ、リミットブレイク。つか、何あれ?モンスター?
「いい年して蜜蜂の館などみっともない」
社長ー、それは言っちゃいけないお約束じゃ・・・・あぁ!
あいつ今、バケツ倒したんだぞ、と!俺の仕事増やしやがって!
「うるさいんだぞ、と!散らかすなバカやろう!!」
あーマジムカツク!雑巾投げたくらいじゃ、腹の虫がおさまらねぇ!
てか、飯も食えなくて別の意味でも腹の虫がおさまらねぇ・・・・
「ル、ルクレツィアァァァ・・・・」
ん?何?ルクレツィア?  あぁ!思い出した!!
こいつルクレツィア博士のストーカだったっていう。
・・・・そうかそうか。なら、いい考えがあるんだぞ、と!
「そういえば、宝条博士がルクレツィア博士のアルバムを持っていたような・・・」
「な、何!?それは本当か!?」
「本当なんだぞ、と。この間掃除してた時に見つけたんだぞ、と。
 でもあそこ鍵がかかってるからなぁ。それをくれたらくすねてやらない事も・・・」
「あげます、あげます!!!だからお願いします!」
「大先輩の頼みじゃ仕方ないですね、と」

後日、俺はプラチナ会員証をクラウドに100万ギルで売りつけ、
しばらくの生活費を得た。ちょろいもんだぞ、と!