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R月T日 ルーファウス
10時 忙しい・・・・とにかく忙しい。
Angello Crisisのせいで、仕事が山のようにたまっているのだ。
家にも帰れなければ、睡眠もまともにとれていない。
けれどそれは、タークスも同じ事。上司である私が文句を言うわけにはいかない。
こんな時こそ一丸となって・・・・ん?ノック音?
「失礼しますよ。フヒヒヒヒ」
ツ、ツォン!こんな時にツォン!
しかも半泣きの短銃♀を連れている。何なんだ一体!?
「実は今朝、商店街の福引きで短銃♀が餅米を当てまして。
疲れているみんなの為に、餅をつかせて頂きたいのですが・・・・」
・・・・福引きだと?何をやっているのだ、タークスは!暇なのか!?
「それではお言葉に甘えて。フヒ」
「ま、待て!ツォン!私はまだ何も・・・・」
「社長は可愛い部下に餅を食べさせたくないのですか?みんな仕事でry・・・」
マズイ。これは非常にマズイ。ある意味緊急事態だ。
このままだとツォンの小言が小一時間程続く。
社長である私に説教などと・・・・あ、いや。ツォンは普通じゃない。
それは仕方ないとしても・・・・ん? どうした短銃♀
口をぱくぱくさせて、何か言いたい事でもあるのか?
『す み ま せ ん!』
・・・・そうだな。お前も被害者だったな。
ツォンの後ろで必至で頭を下げる短銃♀を見て私は決心をした。
11時 慣れとは怖いものだ。あれ程気になっていた
ペッタンペッタンという音が、今はもう少しも気にならない。
・・・・私はこうやって、少しずつおかしくなっているタークスにも
慣れてしまったのかもしれないな。フッ
ズビッッ
しかしそれでも気になるのが短銃♀の鼻をすする音だ。
(目障りだから)私の後ろでつくよう命令したはいいが、
何が起こっているのか見ることができない。
けれど、振り向いたら負ける。もう何に負けるのかもわからないが
とりあえず何かに負ける気がするのだ。
だから短銃♀。泣いているのかもしれないが、今は耐えろ。
12時 餅が完成した。お昼に合わせてついていたのか・・・・。
「なにで食べますか?」
早速ツォンが聞いてきたが、答えはもう考えてある。
「医者に止められていて餅は食えない。悪いな、ツォン」
「そうですか。それは残念ですね。では私は本部に戻ってお雑煮をつくります。フヒ」
「あ、ちょちょっと待って下さい! うぷっっ!」
短銃♀が口元を押さえ近づいてくる。どうしたのだ?餅つき中に何かあったのか?
『社長、聞いて下さい!ツォンさん隠し味だとか言って、
餅に何かを混ぜていたんです。私、試食したんですがとんでもなく不味いです!
みんなが倒れてしまう前にどうにか阻止を・・・・』
そう私の耳元に言い残し短銃♀は力尽きた。
・・・・そうか。やはり、普通の餅ではなかったか。
しかし試食をするとはなかなか勇気のある奴だ。
短銃♀よ、お前の勇姿を忘れない。
「ツォン。餅は私がタークスに配る。今日は疲れただろう?
ご苦労だったな。帰って休んでいいぞ」
R月T日 レノ
9時 短銃♀とツォンさんと餅米が出社してきた。
今朝通りがかりに福引きをしたところ、米が当たったそうだ。
それをツォンさんに目撃され連れてこられたらしい。
「疲れているみんなに、餅を振る舞ってやろう!
行くぞ、短銃♀!!臼と杵を買いに!」
そして二人と餅米は嵐のように去って行った。
ってか、最近仕事してるのは俺だけなんだぞ、と!
10時 二人が帰ってこない。ツォンさんはともかく短銃♀が心配だ。
・・・・しかし、臼と杵を買いにって。売ってるのかよ
11時 あーあ、疲れたぞ、と。
Angello Crisisが終わってからこっち、
何故か俺一人で溜まっていた任務をこなしている。
イリーナとルードは毎日定時で帰ってるってのに!
全然納得できねぇ。大体ツォンさんは一体何をしてるんだ。
主任だろ?あのホクロ、一応タークスの主任だろ!?
まぁ、いい。よくないが、もういい。
・・・・って、なんか俺の足臭くね?
よく見たら、靴もボロボロだし。もう買いかえなきゃな、と。
あ、イリーナがこっちみてる。足の臭いかいでたのだがバレた。
12時 やっぱり足の臭いが気になる。
大体臭いのは俺の足だけか?ルードももしかしたら・・・・
「・・・・なぁルード。足の臭いかがせてくれねぇ?」
あ、ヤベ。今の言い回し絶対おかしかった。
ホラホラホラホラ。変な目で見てるし。そして興奮してるし!
「レノの為なら・・・・」
あ、ちょ、おまっ!何も服まで脱がなくても靴だけでいいんだぞ、と!
ホラ、イリーナも冷たい目で見てるし!うわぁあぁ、もうぉぉぉぉ!!!!
「存分にどうぞ」
・・・・・・・・・・・・・・・・。変態だな、俺。うん、間違いないぞ、と。
でももういいや。どうせ明日からまた任務だし。
顔を合わせる事もない。とりあえず嗅ごう!思う存分嗅ごう!!
・・・・・・・・・・・・・・・・。くっさぁぁぁぁぁ!何これ?人間?えぇぇぇえ!???
臭いよー、間違いなく臭いよー。
ビックリして、思わず弁慶殴っちゃったよ。しかもロッドで。
ルードがのたうち回っているが、あれは俺のせいじゃない。
立派な正当防衛なんだぞ、と!
しかしそうなると、次に気になるのは・・・・・
「あ、先輩!今私を見ましたね!いやー!近づかないで!!」
「大人しくするんだぞ、と!タークスとはいえお前は女だ。
男の力に適うわけがないんだぞ、と!!」
「へ、変態です!先輩は変態です!!」
「何でもいいから足の臭いを嗅がせろ!」
ガチャ。
「すまないが、任務だ。この餅を処分・・・・て。何をしている」
「あ、社長ー!助けて下さい!レノ先輩がレノ先輩が!!」
げーーーーー!よりによって何でこんな時に!!
ってか何で餅!?ツォンさんと短銃♀はどこ行ったんだよ!?
「・・・・・・レノ、お前まさか」
「ち、ちがーう!これはその・・・色々と深い訳がありまして・・・・」
「ほぉ。同僚を押し倒しておいて深い訳だと?それは面白い。
是非、私にく わ し く聞かせてくれないか?」
「だからそれは・・・・・そのぉ」
い、言えない。まさか足の臭いが知りたかったなんて。アワワワワ。
「しゃ、社長・・・・本当に違うんです」
「!!!? ル、ルード・・・・。な、何だ?どうしたんだ?」
弁慶がまだ痛むのか、ルードは全裸のままよろよろと立ち上がる。
社長はそれに一瞬ひるんだが、俺は相棒を信じて全てをかけた。
「わ、悪くないんです。レノは何も・・・。だから責めないでやって下さ・・・・」
言い終わる前に、あいたたたと言ってルードが座り込む。
おいおいおい!ちょっと待てよ相棒!どこ押さえてるんだよ!
押さえるのは弁慶だろ、弁慶!なのでなんでケツなんか押さえて・・・・
って、あ。血が出てる。
まさかお前、椅子から落ちた時に切ったんじゃねーだろうな!
「ルード・・・・まさか、お前!! ・・・・わかった。もう何もいうな。
私がもう少し早くきていればこんな事には・・・・。すまない」
「しゃ、社長!!!それは本当に違っっっ」
「レノ。お前の給料は今月80%カットする。
仕事も2倍に増やすからせいぜい精進して働け。私は少し休む・・・・」
・・・・・視界が滲んで前がみえないんだぞ、と。
今のところ、ここまで